メダカを飼育する上で、越冬はとても重要なテーマの一つです。初心者の方にとっては、越冬がどのようなものなのか分からないかもしれません。
この記事では、メダカの越冬について初めての方向けに解説します。
越冬とは何か、準備や飼育方法、注意すべき点などを学んで、健康なメダカの育成に役立ててください。
メダカの越冬とは?
メダカの越冬とは、低温に耐えなければならない冬季に、生き延びるための生存戦略のことです。
メダカは比較的寒さに強い魚ですが、冬の間に外気温が下がれば、死んでしまうリスクは高くなります。ですが、適切な管理をすることで、メダカを越冬させることは十分に可能です。
越冬といえば屋外をイメージすると思いますが、飼育下のメダカであれば屋内で冬を越すこともできます。屋内の場合、ヒーターで水温を調整するので、冬場もメダカを繁殖させたい方にオススメです。
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越冬によるメリット
それでは最初に、越冬によるメリットを紹介していきます。
メダカの色がキレイになる
これに関しては明確な根拠は見つからなかったのですが、越冬したメダカは色がキレイになる傾向があります。私の飼育経験でも、越冬したメダカはなぜかキレイに見えました。
これについては同意見のブリーダーが多数おり、何らかの理由でメダカの色を濃く見せる効果があるのかもしれません。
越冬中はメンテナンスフリーになる
越冬中は基本的に何もすることがないので、メダカのメンテナンスに時間を使うこともありません。
シーズン中は何かと忙しくメダカの世話をすることになるので、何もしない期間というのは飼育者の休息にもなります。
その期間に翌シーズンの計画を立てると、メダカの飼育がより楽しみになるはずです。
メダカの寿命が延びる
メダカは無理に越冬させる必要はなく、屋内の暖かい空間で飼育すれば冬でも普通に産卵してくれます。
ただ、通年を通して活動させたメダカは寿命が短くなる傾向があるので、気に入ったメダカは越冬させる事で数年間は飼育を楽しむことができるはずです。
越冬前の準備
メダカを越冬させるためには、事前の準備が必要です。
越冬前には、水温や餌、水質などの要素を調整し、メダカが冬季を健康に過ごせるよう整えます。
与える餌を少なくしたり、水換え頻度を減らしたり、水槽をリセットすることが大切です。
与える餌を少なくする
越冬前の飼育では、餌を少なくすることが非常に重要です。
餌を与え過ぎると、水中に残った餌が腐敗し、水質が悪化する可能性があります。また、水温が下がるとメダカの代謝が落ち、餌を消化しにくくなるため、消化不良に陥りやすくなります。
このため、10月ごろより餌の量を徐々に減らし、12月頃からは餌を与えないようにしましょう。
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水換え頻度を少なくする
水換えはメダカの飼育において非常に重要な要素であり、水中の汚れを取り除いたり、水質を安定させるために欠かせません。
シーズン中は週1回程度の水換えが望ましいとされていますが、気温が下がるにつれ、メダカの代謝も低下するため、餌の摂取量が減少します。
このことから、水換えの間隔も徐々に長くしていく必要があります。ただし、水換えの頻度を減らしすぎると、水質が悪化し、メダカがストレスを受けてしまう場合があるため、注意が必要です。
水換えの間隔は、水槽内の水の状態を確認しながら調整し、適切な水質を保つよう心がけましょう。また、水換えを行う際には、水槽内の水温と新しい水の温度に大きな差がないように注意することも重要です。
水槽をリセットする
11月頃になると、メダカの越冬に向けて水槽をリセットすることが推奨されます。
シーズン中の汚れをキレイにして、新しい水槽でメダカを飼育することで、健康的な環境を整えることができます。また、11月に水槽をリセットすることで、本格的な越冬前にバクテリアなどの定着期間を設けることができます。
この定着期間を設けることで、新しい水槽に適した環境を整うため、メダカが快適に越冬できるようになります。
メダカの隠れ家を作る
メダカの越冬前には、飼育容器内に隠れ家を作ることが大切です。
これは、メダカが安心して越冬できる環境を整えるためです。メダカ愛好家の間でよく用いられるのは柿の葉です。
柿の葉は、抗菌作用があり、葉同士の折り重なりによる空間が、ちょうどメダカの体が収まるサイズで、メダカにとって理想的な環境を提供できます。
柿の葉が手に入らない場合でも、石などを重ねて入れれば、その隙間にメダカは隠れることができます。ただし、硬い素材を使った隠れ家は、隙間に挟まって死んでしまうことがあるので、その点には注意が必要です。
隠れ家を提供することで、メダカはストレスを感じずに越冬でき、健康的な状態を維持できます。
越冬中の飼育方法
ここからは、越冬中の飼育方法について紹介していきます。
基本的には何もしない
メダカの越冬期間は水温が低くなるため、基本的には何もしない方が良いとされています。
餌を与えても食べられずに腐敗して水質悪化を招いたり、消化不良を起こしてメダカに悪影響が出る可能性があるためです。ただし、越冬を何度も経験して飼育に自信がある場合、日中に水温が上がる時に少量の餌を与えることもあります。
冬眠といっても水槽中には苔や藻が発生し、水面には何かしらの栄養源が落ちてくるため、メダカはそれらを少量食べて過ごしています。このように自然の環境に合わせて、人の手を加えずに水槽を維持することが重要です。
水量が減ったときは足し水
メダカが越冬する時期には、水換えは行わずに、代わりに足し水を行います。この理由は、越冬中のメダカが活動を停止しているため、水が汚れにくく、水質悪化のリスクが低いからです。
しかし、水は蒸発していくため、飼育水の水かさは徐々に減っていきます。そこで、足し水が必要になります。足し水を行う場合には、事前に足し水の水温を飼育水に合わせておく必要があります。
水温が異なると、メダカの体調に悪影響を与える可能性があります。また、急激な水質変化も避けるため、ゆっくりと足し水をすることが大切です。越冬中のメダカは急激な環境変化に慣れていないため、注意が必要です。
越冬後の飼育方法
越冬後は、メダカを起こすという作業があります。水温が徐々に上がってくるので、それに合わせた水換えやエサやりが大切です。
メダカの起こし方
冬から春にかけてのメダカの起こし方は、水温が15℃を超えたころに行う水換えが基本です。これにより、越冬によって体力を消耗し、抵抗力が低下しているメダカに、活動しやすい環境を整えます。
越冬明けの水換えは、少量から行うことが重要です。急激な水質変化はメダカにストレスを与え、健康を損なう可能性があるため、徐々に行いましょう。
また、春先にはメダカの産卵が始まります。産卵に適した環境を整えるためには、水草や浮草を用意し、水槽内に流木や石を置くことも効果的です。これらを用意することで、メダカが自然な環境で産卵し、健康な稚魚を育てることができます。
病気の対策が必要
メダカは春先に水カビ病を発症しやすくなります。その原因として、越冬による体力低下や寒暖差による水温の乱高下が挙げられます。対策として、水量を増やすことが重要です。
水量が多ければ水は汚れにくく、水質悪化を緩やかにし、気温差の影響を受けにくくなります。特に春先は気温の変化が激しく、水温も急激に上下するため、メダカへのダメージを軽減するためにも、水量にゆとりを持たせることが必要です。
水量を増やすことにより、メダカが健康に過ごせる環境を整えることができます。
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餌を与え始める
メダカの餌やりは、通常1日2回行いますが、越冬明けのメダカは消化器官の機能が回復していないため、暖かい日に限り1日1回与えるようにします。
しかし、毎日与えるのではなく、気温が低い日は与えないように注意が必要です。
日本の春は、気温が不安定で三寒四温の傾向があります。そのため、暖かい日に餌を与えても、すぐに寒くなることがあるため、消化不良や水質悪化を招くことになります。
寒い日に与えると、メダカが餌を食べきれず、水中に残って腐敗し、水質が悪化する原因になります。そのため、温度計を使用して水温を確認し、寒い日には餌を与えないようにすることが大切です。
越冬を成功させる秘訣
以上、メダカの冬眠|越冬前~越冬中~越冬後までの注意点を詳しく解説でした!
メダカの越冬は、飼育者にとって一つの大きな試練ですが、適切な準備と正しい飼育方法を実践することで成功させることができます。
越冬中に起こり得るトラブルについても、事前に対策を講じておくことが重要です。正しい知識を持ち、適切な対応を行うことで、健康なメダカを育成し、長く楽しむことができます。