メダカの飼育を始めたら、定期的な水換えをしていく必要があります。水換えとは、水槽の一部または全ての水を新しいモノと交換する作業です。
しかし、容器に対するメダカの数、春夏秋冬など様々な条件によって、その頻度や水量は変わってきます。
そこで今回は、メダカの水換えについて解説していきます。
水換えが必要になる理由をしっかりと把握し、適切に交換して良い水質を保つようにしましょう。
水換えをする理由
まず最初に水換えをする理由ですが、簡単にいうと【メダカに悪影響のある毒素が徐々に増える】からです。この毒素を薄めるために、水の一部を吸い出して新しい水を注水します。
少し難しい話をすると・・・
アンモニア(糞やエサ残し)を細菌が分解して、亜硝酸になります。
亜硝酸を細菌が分解して、硝酸塩になります。
この【硝酸塩】はアンモニアと比較すれば有毒性は少ないですが、ゼロではありません。そして、水換えをしないと徐々に蓄積されていきます。
これが先に述べました【メダカに悪影響のある毒素が徐々に増える】という事です。
水換えには硝酸塩の濃度を薄めるという目的があります。
逆に考えると、硝酸塩が蓄積しにくい環境下であれば水換えの頻度や量を減らすことも可能です。
具体的には、硝酸塩を吸収する水草を入れたり、餌の食べ残しを処理してくれるエビを共生させる方法などがあります。また、水量に対するメダカの数を減らすのも有効的です。
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水換えの頻度と1回に交換する水量
水換えの頻度は、季節や水量に対するメダカの数によって変わってきます。1回あたりに交換する水の量は1/3程度までにしておきましょう。
たくさんの水を一気に交換すると、飼育水の細菌バランスが崩れて濾過に不具合が発生することもあります。
季節による違い
先ほど説明しましたが、水換えの目的は毒素の濃度を減らすことにあります。その毒素のもとになるのは糞やエサの食べ残しです。という事は・・・
活発に活動して餌をたくさん食べ、糞をたくさんする時期は、水換えの頻度を増やす必要があります。
メダカが餌をよく食べるのは、水温が高くなる夏です。夏場は週1回は水換えをするようにしましょう。
シーズンの中でも、春と秋はまだ水温が低く餌もそれほど食べません。1日1回程度の餌やりの時期は、2週間に1回くらいの水換えを目安にしてください。
冬は水温が低く、メダカは餌を食べません。あまり糞もしないので水を交換する必要はありません。
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メダカの数による違い
メダカ飼育に必要な水量は、1匹あたり1リットルが目安とされています。そのため、過密に飼育していると水が汚れるのも早くなり、頻繁に水を交換しなければなりません。
逆にゆとりある飼育数で管理していれば水が汚れるスピードは遅く、水換えの頻度を減らすことができます。
水換えの手順
それでは、水換えの手順を紹介していきます。
交換用の水を用意しておく
まず最初に、交換用の水を準備しておきます。この水はカルキを抜き、飼育水と水温を合わせておいてください。水換えをする前日に、水槽と同じ場所に用意しておくのがいいでしょう。
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水槽の底の糞をポンプで吸い取る
水換え専用のポンプがありますで、水槽の底に溜まった糞や汚れを吸い出していきます。
ゆっくりと注水する
用意しておいた水を、ゆっくりと注水します。
水換えの注意点
続いて、水換え時の注意点について説明していきます。
メダカを吸い出してしまう
水槽の水を吸い出すのにポンプを使用しますが、その水流と共にメダカを吸い出してしまう事があります。運が悪いとその衝撃で死んでしまう事も・・・
ポンプにもいくつか種類があるので、メダカが通れないように吸い口が網目構造になっているモノがおすすめです。
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急な注水でストレスがかかる
良い水質を維持するために水交換は必須の作業になりますが、新しい水を一気に入れるとメダカにストレスを与える場合があります。
飼育水が60リットル以上の大型水槽であれば変化の影響も少ないですが、10リットル程度の小型水槽の場合はゆっくりと水を注いだ方が安全です。
交換した水の量が多すぎる
飼育水というのは、絶妙なバランスで維持されています。1回の交換量が多いと、そのバランスが崩れて白濁りしたり、濾過の過程にトラブルが生じる事もあります。
水交換の目安量は1/3程度、多くても半分までにしておいてください。
トラブルが発生した時はリセットする
メダカの様子を毎日観察していると、泳ぎ方や体表の変化に気が付くことができます。その時は何かしら水質にトラブルが発生している可能性が高いです。
具体的には水面でボーっしていたり、ヒレの動きが悪い、泳ぎ方が遅い、底の方でジッとしている、ヒレに白い点ができている、尾が溶けている、白い綿のようなものが付着しているなどです。
メダカが調子を崩してしまった時は、水槽の水を全て交換しましょう。そのことをリセットといいます。
リセット時は水槽をきれいに洗い、ハイターなどで消毒して、しっかりすすいで乾燥させてください。トラブル発生時のため、予備水槽を1つ用意しておくのがいいでしょう。
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メダカの稚魚(針子)は5~10mmくらいしかないので、とても小さく水流にも弱いです。水換えポンプの吸出しは成魚でも吸い込んでしまう事があるので、稚魚は容易に巻き込まれてしまいます。
そのため、稚魚水槽はできるだけ水を汚さず、水換え頻度を減らした飼育がおすすめです。水換え頻度を減らすために、生餌や生体濾過(ヒメタニシ)などを活用するといいでしょう。
それでも水換えは必要になりますので、その時は目の細かいメッシュを通して水を吸い出したり、底の汚れはスポイトで丁寧に吸い取ると安心です。
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吸い出した水から採卵できることもある
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種親水槽の水換えをするときは、吸い出した水をメッシュで濾しとると、意外にも多くの卵を回収する事ができます。
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水換え無しで維持する事もできる
水換え無しでメダカを飼育するには、ビオトープという方法がおすすめです。
ビオトープは生態系を作り上げる飼育方法なので、水槽内で全ての循環が完結します。
もちろん飼育できるメダカの数は限りがありますが、毒素などを水草が吸い取ってくれますので、水換えは不要です。
私はビオトープを実践したことはありませんが、洗浄予定の発泡スチロール容器(10リットルサイズ)を屋外に置いて、放置してしまった事があります。
その水槽には水草も入れず、水換えもせず、餌も与えずにいましたが、気が付くと1匹のメダカが成魚サイズまで成長していました。
容器の中に残っていた卵が孵化して、放置状態で成長したものと考えられます。
まとめ
以上、メダカの水換え方法|交換する頻度と1回あたりの水量についての解説でした。
水槽の水換えには【蓄積した毒素を薄める】という目的があります。毒素の元は糞やエサの食べ残しなので、その量によって水換えの頻度は変わってきます。
夏場は餌をよく食べるので週1回、春秋は活性が低いので2週に1回、冬場は冬眠しているので水換え無しを目安にしてください。
飼育水のバランスを維持するためにも、1回あたりの交換量は1/3くらいまでにしておきましょう。